掬い上げるもの

日々の中から掬い上げたさまざまな思いを綴る、俳句&エッセイ。 一話があっという間の短さです。 どこから読んでも、好きなとこだけついばんでもよし。 よろしければ、お茶やコーヒー片手に気楽にお付き合いくださいませ。 マイナスイオンを深呼吸したい方も、ぜひお立ち寄りください♪

2023-02-12から1日間の記事一覧

拒むきらめき

夏草のきらめきに呼ばれ拒まれ 夏草は、繁茂する夏の草。野山に茂った夏草は青々として快い。夏の季語。 ひとの心を惹き付けるきらめき。自分自身のどこかにそんなきらめきを持ちたいと、誰もが願う。 そして、誰もが既にそれぞれの魅力的なきらめきを放って…

鯨とオーロラ

オーロラも鯨も遠く扇風機 扇風機は夏の季語。 鯨とオーロラ。どちらも、私が一度は見てみたいものだ。 海に生きるほ乳類に、悲しみに近い愛情を感じるのは私だけだろうか。 例えば、動物園に出かけて一日動物達に親しんでも、帰り際に何か悲しみを感じるよ…

命の気配

目を閉ぢてさえずりの中夏あかつき 夏の暁《あかつき》。明け方は、一日で最も気温の低い時間帯。夏の明け方の空気には何とも言えない爽快感がある。夏の季語。 明け方に目覚めた。 時計を見ると、午前5時少し前。空は少しずつ明るくなり始めている。 窓から…

100%の幸せ

幸は手の中にあるものかき氷 かき氷は、「氷水《こほりみづ》」の傍題。夏の季語。 幸せとは、なんだろう。 誰もが追い続ける、難しい問題だ。そして、その解答もひとりひとりさまざまで、決してひとつにまとまるものではないだろう。 生きていると、幸せな…

願うこと

願ふこと無きに気づきて星祭 星祭《ほしまつり》は、七夕の傍題。陰暦7月7日、またはその日の行事のこと。その他に星迎《ほしむかへ》、星今宵《ほしこよい》など、七夕の傍題は多い。秋の季語。 七夕は、秋の季語だ。現在は太陽暦の7月7日に祝っているが、…

しずくの音

雨垂れの音を数えて戻り梅雨 戻り梅雨は、「梅雨」の傍題。一度梅雨が明けたように何日も暑く乾いた晴天が続いた後、再び天気がぐずつくこと。夏の季語。 梅雨明けは、どんより暗い時期を終えて輝く夏がスタートした合図として、毎年浮き立つような気分にな…

全力

生きしこと耳に残して油蟬 油蟬は、「蟬」の傍題。夏の季語。 蟬の声がだんだんと耳に入りはじめる季節は、心にも明るい力が生まれ出る。 蟬の声は夏の気配を否応なく盛り上げる。 同じ蟬でも、蜩《ひぐらし》は、早朝や夕方に、カナカナ…と、涼しくどこか悲…

酔い覚め

酔ひ覚めの記憶拾うて夏の月 夏の月は、主に涼しさを感じる月のこと。「月涼し」という傍題もある。夏の季語。 夏の宵、気心の知れた友達と飲み、話に花を咲かせた。 浮き立つようなその楽しさに、つい酒が進む。 夜も更け、ふわふわとした酔いに身を任せた…